おススメ案件一覧(2023-05-21更新)

『野生動物と共存できるか』 高槻成紀

野生動物の絶滅にとっていちばん大きな問題は、せんじつめれば人口問題といえるほどです。

『野生動物と共存できるか』 高槻成紀

パンダが特別なのは、生物学的な意味ではなく、人間に人気があるということです。
フラグシップ種はそういう意味のことばです。かわいいから人気があるのはえこひいきだといっても、じっさいに人気があることは変えられませんし、変える必要もありません。それをうまく利用することも保全に役立つのです。

『野生動物と共存できるか』 高槻成紀

私たち研究者がシカの数を減らすようにすすめたのは、シカが憎いからでも、シカを資源として利用しようとしたからでもありません。農林業をおこなう地域では、そのことがまず優先されるべきであり、それが誤った土地利用あるいは保護対策によってバランスを崩すまでにシカが増えてしまった状況をもとにもどさなければ、地元の生活が成り立たなくなるばかりでなく、山そのものが荒れてしまうことが明らかだったからです。また、せっかく今日まで残されてきたシカが、地元にとってじゃま者あるいは悪者になってしまうのはよくないということも考えました。

『野生動物と共存できるか』 高槻成紀

都会人は自然のことも農林業のことも知らず、「かわいいバンビちゃんを殺すなんてかわいそうだ」という反応をします。これは世界共通な現象で「バンビ症候群」と呼ばれています。

『野生動物と共存できるか』 高槻成紀

これは多くの野生動物に共通のことです。多く生まれて多く死ぬ、それによっていわば安定した数が保たれているのです。それだけに、もしなんらかの理由で子ジカの死亡率が下がれば、シカ全体の数が増えることになります。

『野生動物と共存できるか』 高槻成紀

それが小笠原の自然を保全するということであり、それが私たちの責任のとり方だからです。そこで私が強調したのは、ヤギを排除する以上、中途半端なことをしてはならないということです。駆除をする以上は根絶、つまりヤギの数をゼロにしなくてはなりません。というのは少しのヤギが残ると、食料が豊富になり強い繁殖力ですぐに回復するからで、そうなるといつまでも駆除をつづけなければならないからです。

『野生動物と共存できるか』 高槻成紀

人間は動物よりも賢く、また強くもあって、人間は動物や植物を利用して生きるものだというふうに考えるという意味ではアジアとヨーロッパで違いはありません。それはわがままなことのようですが、人間が地球上で生きるというのはそういうことなのです。

『野生動物と共存できるか』 高槻成紀

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