初版が1987年、Amazonで販売されている第3版も1996年なのでこの本は少し古い。少し古いけど認知心理学を学ぶのに特に支障はないかな。ただ”入門者のための入門書”を標榜している割には変形3囚人問題などの難しい内容も載ってあるので、より分かりやすい下記の本などを先に読んでみた方がいいかもしれない。すべてKindle Unlimitedに加入してあれば無料で読める。知っていて損をすることはないと思うのでKindleを買ったりしたらついでに読んでみては。

引用
頭頂葉後部(背側経路)に損傷を受けた患者さんは、目の前の物体が何であり、どんな形、大きさ、向きをしているかを述べることができるのにも関わらず、その物体を握るのに適したように自分の手や指の形や向きを調整できないことが報告されている。逆に側頭葉後部(腹側経路)に損傷のある患者さんは、その物体が何であるかわからないのに、正確に握ったり、型にはめ込んだりできるという。
『認知心理学を知る』市川伸一 伊東裕司
ケーラーは、チンパンジーが2本の葦の茎を繋ぎ合わせて手の届かない位置にあるバナナを取るという行動を生まれて初めて行い、身に付けた様子を観察した。チンパンジーは檻の外のバナナを取ろうとひとしきり手や葦を伸ばしていたが、結局取れずにあきらめてほかのことをしていた。そして、2本の葦で遊んでいるうちに偶然細い茎を太い茎に差し込むと、それまで背を向けていたバナナのほうへ飛んでいきそれを引き寄せたのである。チンパンジーはこの瞬間に1本の葦では届かなかった距離と継ぎ合わせた葦との関係を見抜いたのであろう。そしてこの1回の経験でこのチンパンジーは2本の葦を継ぎ合わせてバナナを取るという手続きを身に付けたのである。
『認知心理学を知る』市川伸一 伊東裕司

トゥベルスキーやカーネマンは、日常生活で見られるありふれた事態でも、人間の判断が明らかに誤っていることや、またさらには、統計学を日常的に使って仕事をしているような心理学者でさえ、大きな誤りをすることなどを続々と例証していった。そして、(たとえ専門家といえども)人間が根強くもっているヒューリスティックによって、これらの誤りを説明していったのである。
『認知心理学を知る』市川伸一 伊東裕司
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