認知心理学とか行動経済学の知識は一通りあったのだけど、復習がてらに二冊読んでみた。
勉強法の科学――心理学から学習を探る
こちらの本は初学者にも分かりやすいと思う。心理学って聞くと女の子の気持ち! みたいなのを連想される方もいると思うけど、認知心理学はそういうのじゃない。人間や動物の脳の仕組みを探ってそれを活かそうって話なので、知っておくと役に立つことも多いと思う。
1日8時間勉強すれば必ず合格するだろうという結果期待をもっていても、自分が1日8時間勉強するという見込みがもてなければ、効力期待は低いことになります。その場合「やれば成功するはずだが、とてもやれない」と感じてしまえば、やる気にはつながりません。勉強の計画を立てるときも、「これをやればいい結果になる」という確信をもてる内容にすると同時に、「これなら自分でもできそうだ」という実行可能性の高いものにしないと、やる気は湧いてこないわけです。
勉強法の科学――心理学から学習を探る 市川 伸一
人間には、自分の価値や能力を高く保っておきたいという欲求があがります。すると、もし失敗してそれらが脅かされるかもしれないという可能性があると、わざわざ自分にハンディを課してそのせいにするという予防線をはっておくことがあります。これがセルフ・ハンディキャッピングです。「試験前なのに、勉強していなかった」というのは、明らかにそうしたハンディになりうるわけです。
勉強法の科学――心理学から学習を探る 市川 伸一
耳が痛い。
その人にとってのひとまとまりのものを、チャンク(chunk)といいます。いまのDOGの例でいえば、ふだんからDOGとして使っている人にとっては、これが一つのチャンクになります。
勉強法の科学――心理学から学習を探る 市川 伸一
短期記憶に入るのは、チャンクにして約7個なのだというのがミラーの指摘したことです。
短期記憶は一時的に覚えてられる記憶のこと。1859374とか適当な数字覚えて、今度5783047とか覚えようとしたら、凄い人以外は前の数字どっか言っちゃう。前の数字覚えたまま無理やり後の数字も覚えようと思うと、今度はなかなか後の数字を覚えるのが思うようにいかなくなる。
勉強法が変わる本: 心理学からのアドバイス
スマートフォンなんて無かった時代の本だから、紹介されてる勉強法はあまり役に立たないかな。ただ話自体は面白い。
暗記主義、結果主義、物量主義という話が出たついでに、「学習は、量と質である」ということはだけは言っておきたい。認知心理学者としては、「量より質」と言いたいところなのだが、「要領よく、楽をして勉強できる方法がある」と誤解されると困るので、あえて、「量も大事だが、質も考えよう」というのである。
勉強法が変わる本: 心理学からのアドバイス 市川 伸一
囲碁のある局面を見て、有段者はやすやすとそれを覚えて再現できる。しかし、碁石をまったくデタラメに並べた盤面の記憶では初心者とあまり変わらなくなってしまうという。
勉強法が変わる本: 心理学からのアドバイス 市川 伸一
つまり、記憶力そのものが優れているというより、よくあるパターンを長期記憶として蓄えていて、それを使って覚えているのである。
人によって記憶力そのものももちろん違うし、質も大事だけど、やはり最後は量がものを言うよね。

どちらの本もKindle Unlimitedの対象なので加入していれば無料で読める。
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